うえだ通信
「カイシャ意外史(社史が語る仰天創業記)」を読んで!!
明治の頃、近代企業が誕生してからこれまでに6000社以上が社史を発行している。
しかし社員でさえ自社の社史を読まないと言われるくらい“読まれない本の代表”となっている。
堅苦しい!自慢話ばかり!厚くて読む気しない!昼寝の枕がわり!などと散々だが、本書を読んでみると「創業時のありえない出来事」や「へぇ そんな見方があったのか」など興味深いエピソードがいっぱいある。
著者の社史研究家、村橋勝子氏は経団連の事務局を退職以後、大学講師を続けながら社史に関する第一人者として講演執筆活動をされている。
本書には21社の創業期のエピソードが掲載されているが私なりに関心を持った3社を簡単に紹介する。
味の素
食品最大手、アミノ酸事業をはじめ医薬品関連など多角的にグローバル展開している大企業。
創業は明治42年鈴木三郎助によるものだが、その20年前に三郎助の母親ナカが中心となって海草からヨードを抽出する“鈴木製薬所”を設立している。
このヨード事業がきっかけでグルタミン酸塩(味の素)の特許を取得することになった。
味の素の基礎を築いたのは創業者ではなく、その母親だった。
富士フィルム
写真フィルムから始まりデジタルカメラを経てメディカル、ライフサイエンス、電子材料まで業務領域を拡げた優良企業。
昭和9年設立、前身は大正8年大阪堺市に設立された大日本セルロイド(現ダイセル化学工業)が母体だ。
セルロイドの需要開始で写真フィルムの開発に着手。
フィルム界の巨人コダック社との確執は有名な話だ。
フィルム事業はフィルム販売だけでなく現像、プリントなどで幅広く稼ぐ構造になっている。
一方でステークホルダーを多く抱えるコダック社はデジタルカメラへの移行に遅れをとって衰退していった。
マーケット環境への適応力の違いを見る良い例だ。
ブリジストン
創業者、石橋正二郎は明治39年に17才でシャツ、脚絆などの仕立物業を親から引き継いだ後、足袋一本に集約して成長。
加えて足袋の裏にゴム底を貼りつけた「地下足袋」を考案、これが爆発的に売れた。
その後、ゴムつながりでタイヤ製造に進出、外国メーカーとの競争に勝抜き、今では建築、スポーツ分野にまで展開している。
モータリーゼーションの到来を予測する力が成長の原点になった。
<読後感>
本書に掲載されている21社はいずれの会社も最初は零細ベンチャーだ。
企業の成長にはヒト(人材)、モノ(製品、サービス)、カネ(資金)の3つが揃うことが必要とされているが創業期の会社にそんなものは無い。
カネは無くても意欲、情熱でカバーしてきた会社ばかりだ。
勇気づけられる。
菜園だより
![]() |
ミツバチの5月の分蜂期に備えて単箱5個を整備した。 具体的には掃除と、ミツバチを誘導するための蜜蝋を塗った。 |
![]() |
昨年は天敵のスムシや酷暑の中での巣落ち(蜜の溜まりすぎ)などの反省点があって今年は慎重に進めたい。 |